いつか会えるかもしれない、そんな希望が彼女の胸に充ち満ちた。
喜ぼう。何より自分に父がいたことを。
母はなにも言わなかったけれど、父の身の上を心配して、そしてそれを悟られまいと気丈に独り店を暖めていたのかもしれない。
いつ、父が帰ってきても良いようにと。
切なさ寂しさ、全部押し込めていたのかもしれない。
それが反動を呼び、アレキサンドラに厳しくしてきたのかもしれない。
そうだ……愛するひとを、独りいずこへともなく送り出して平気でいられるはずはないのだ。
「父王から聞いた。かつてはリリアを含め、同志として、だれもが望む国をつくるために戦場を駆け巡ったのだと」
「そのお話は本当ですか? リリアって、母のことですか? まさか、信じられない」



