建国の徒でありながら、性格は豪放磊落で奔放、一処にはじっとしていられない。
旅から旅へと、旅ガラス。
世情もついでに見回っている。
なにしろ間諜のようなことまで請け負っているらしい。
娘のアレキサンドラには知ることがかなわなかったことが王子の口からぽんぽん出てくる。まるで疑似餌にかかる小魚のように、彼女は興味をそそられた。
次々とまかれる撒き餌に食いつきにきた雑魚のように。だが、危険がないわけではない。
では、針にかかったのは誰なのだろう。
心乱れる彼女自身が思わないでもない。
父親が存命で、この国のために各地を巡って働いているなら、自分はなにも卑屈に思うことはないのだ。



