ほーっと息をつくアレキサンドラの生気はだいぶ弱っていて、いつものどころか、空元気すら出てきはしない。
「お気遣いありがとう、存じます。けれど今はそんなことをいっている場合ではありませんね、もうしわけありません」
「謝らなくて良いんだ。実はなんども訪ねていったんだ、面会謝絶と言って断られたよ」
はっ、と息をついてアレキサンドラは王子を見た。
今にもこぼれそうな黒目がちの大きな瞳に見つめられ、王子は軽く頷いた。
「知ってたんだ、君のことは。王城に召し抱えられるにあたって、その周辺のことは調べられている。君の母君のこともな」
「調べるって、どこからどこまでなんです」



