~天に背いて~<~天に送る風~第二部>



 ほーっと息をつくアレキサンドラの生気はだいぶ弱っていて、いつものどころか、空元気すら出てきはしない。


「お気遣いありがとう、存じます。けれど今はそんなことをいっている場合ではありませんね、もうしわけありません」


「謝らなくて良いんだ。実はなんども訪ねていったんだ、面会謝絶と言って断られたよ」


 はっ、と息をついてアレキサンドラは王子を見た。

 今にもこぼれそうな黒目がちの大きな瞳に見つめられ、王子は軽く頷いた。


「知ってたんだ、君のことは。王城に召し抱えられるにあたって、その周辺のことは調べられている。君の母君のこともな」


「調べるって、どこからどこまでなんです」