「ない。衛兵、ここに異国の長剣はないか? あるいは不審な者が現れなかったか」
「ハ! 紫色の長剣は武器庫管理人におたずねください。自分はあいにく門外漢でして」
おっ前! それでよく勤まるな! と叫びそうになった。王子ならずアレキサンドラまで。
「自分、あくまで見回りなのでございますが、不審な人物とやらはこの入り口から進入した形跡もなく。そのようなことは、全く! ございませんでした」
王子は入れ替わりの武器庫番人の全てに同じことを尋ねた。
だが、反応は似たり寄ったりで成果はなかった。
消えたり現れたり、本当に不思議な剣だった。
しかも、城内のだれも見かけたことすらない、という。



