「いい、いい。幼い頃の失敗だ」
「ええっ、ではこれは王子、が?」
「幼かったと言ったろう。足の上に落としたので患部が痛いと言ってごまかしたが、後でよく調べたら骨に異常が発見されてな」
大事(おおごと)になってしまったのだ、と続ける。何でもなかったことのように。
しかしそういう王子の手は止まり、眉間には珍しくも深い、シワが刻まれていた。
「もう、思い出すのもいやだから糊で修復しておいたのだ。子供なりに気を回していたのだよ。今となっては古傷だ」
「ココロの古傷、ですか」
「あ、神聖文字は辞書があるからそれで調べてくれ」