さて、思いの外、王子は熱心だった。


「またあのキレの良い嫌味が聞きたくてな」


 うんざり、といった様子で冗談まで飛び出す始末。

 その間にも、彼の手元で書類文献が舞い、太古のタブレットまで引き寄せられている。


「神聖文字まで。王子が語学にご堪能とは存じ上げませんでした」


 と、見ると一つ、二つ、ひび割れた物がある。


「触るなよ、端の方から欠けてくる」