「だって剣と学問だけしてた私が町の広場で竪琴奏でるって妙だろう?」


「ボク、わたくしはいつからか樹に昇れなくなりました。お城に上がるときも成り行き任せでした。そして男性が怖くなりました」

 見知った方や王子は別ですけど、と付け加える。

 咳払いをして「人は変わるものです」と……こぽ、とお茶を暖めておいたティーカップに注ぐ。

 王子は急に注意深くなって言った。


「では、以前の君は木々を猿のように昇ったり、自分のことは自分でカタをつける質だったというわけか。で、私のことは?」


 怖かったのか? との問いに少し考えてリッキーは口を開いた。ここで怖くも何ともない、と言ったら台無しだ。