~天に背いて~<~天に送る風~第二部>



『へ、へへ。姫君なんかじゃねーって、何度言わせんだよ。それともあれか? あんたア、射貫きの眼でももってんのかア』


『射貫きの眼?』


『聖なる日月の眼のことだ。魔除けだな。見抜きの眼ともいう聖眼だ』


『逆さだな。ボクは今母に封印されてはいるけれど、邪眼って聞いてる。人を勝手に傷つけてしまう。不幸に落としてしまう』


 クリスチーネは大爆笑。


『それこそ地獄の住民の証だな。似合ってるんじゃねーの』


『ちなみに私はオオカミ男らしいのだが、次の満月っていつだ』


『忘れてるね、ここは地獄だってこと。常夜の国さ、他の月はない。決まって満月だ。あんたみたいなのがうじゃうじゃさ』