~天に背いて~<~天に送る風~第二部>


『真実への鏡よ、出でませこれへ!』


 でやっ! と姿に似合わぬかけ声で魔力を発揮する。

 そうすればそうするほどクリスチーネは色っぽくなってゆくのだが、本人は気づいてない。

 はあ、はあ、と吐息をついて、どうやらこれは消耗してきているようだ。

 朱かった顔が青ざめるどころか真っ白だ。


『無理をなさるな、黄泉の姫君よ』


 リッキーは言うのだが。

 クリスチーネはやれやれ、ひとやすみ、と言って石畳の床に横たわって動かなくなった。

 リッキーは彼女を心配したが気にするな、自分で選んだのだからと、いっかな聞くことがない。その分、口が回るようで、まるで沈黙を嫌うかのように次々と文句を垂れた。