『いやいや』
と、クリスチーネは嘆いてみせる。
『自分が救われたいばっかりの女の涙は臭いんだよ。禍々しいの』
毒にもなるんだぜ、と付け加え、良い味だった、ごっそさん。と言い置いて、収縮化して羽を揺らめかせた。
王子がその様子を見て、
『おお、なんだか羽が桃色に。酔っぱらってるのか? なんだか頬まで真っ赤だぞ』
おまけに色香が増している。胸なんかはち切れそうだ。密かにだが、王子はそう思った。
『あったー! この世に、いや地獄に奇跡は存在したぜー。なあなあ、王子。俺、色っぽいだろ。バージョンアップだ!』



