「へえー、そ」
鼻の穴を広げてる横顔を見たら急に彼の顔がカバのように見えてきた。凡俗が! 彼女に危害を加えたらボクが赦さないからな!
「いい女はひとを惹きつけるもんだ。優しいからな。いい女だ」
と、生徒手帳を口元へ持ってゆく。や、優しいのは認めるけど、こんな風にしてライバル達になっちゃんをさらわれてしまうのはごめんだ。
「なに? フィアンセ? いとこだから?」
「もういいよ! 顔だけ小学生!」
「なにィ! ティーレックスの恩人はどこだ」
「うるさい。なっちゃんはボクのアイドルなんだ! もう何年も想ってきたのに、今更他のやつに盗られてたまるか」



