大人達はなんにも言わなかったけれど、遅かれ早かれ、おとずれる現象だと知り、血族としての分別をつけ、ボク達は好きこのんで『力』を行使することはなくなった。

 


 春休みを挟んだ登校日。


 三月はまだ寒いというのに、梅などが満開に咲き、好い香りを放っている。


 そこへ見えてきた違和感ひとつ。


 偶然通りかかった黒いジャージの三年生らしき男子の手に、見慣れるほどには堪能できなかったおもちゃが。


 あのティーレックスが!


 黙々と一定の速さで歩き、黒ジャージ姿の男子はそのティーレックスをいじりたおしていた。