なんてったって、風呂が狭い。十人も入れない。 「コストを考えるなら御老齢の方には暇をとらせて実家に帰っていただく。新しい風が必要だ。俺と、おまえとな」 「勝手を言うな!」 ボクは怒って声を荒げた。 「のりお、おまえがないものねだりなら、ボクはのりおのなんなんだ。友達だろ? キヌさんはじめここの人たちは皆、家族なんだよ」 「だから、それをよこせ。俺のものにする」 のりおは……どうしてわかってくれないんだ。 だが、次の瞬間、ボクは赤面ものの醜態をさらしてそこに立っていたことに気づく。