「なに独りで大声出してんだ」 のりおがやってきた。 玄関前で、ちょっと寒そうだ。 だれもこないと思ってつい、口に出して言ってしまった。 「よろこべ。これから毎日顔を合わせることになったぞ」 ボクはぎょ、とした。それって……? 「楯野家の奈津実先輩の許嫁、候補になった」 「んにゃいにゃにおうっ」 「日本語しゃべれ。日本人なら」 「混乱してんだよ。なにちゃっかりと自分の居場所確保して、しかもボクだって許されてないのにー」