君を抱きしめるから~光、たずさえて~






 ホステス上がりのおばさんがクールにそう言った。



「玄関先のおたばこはお控え下さい。おばさま」



「んー、お肌にも良くありませんよって、言いよるよ、なっちゃんはな」



「マイナス五点くらいだとうれしいんだけれど」



「んー思いやりのなさでマイナス十点やね」



 ずいぶん、値引かれた。


 ボクの価値なんてこんなもんだ。



「男が口うるさいって、どう思います?」



「病院行けって言いたくなる」



「がーん! 言っても言わなくても、ボクは間引かれるのか」



「いやあねえ、だれが次期当主様を間引くんだい。希少な一粒種やないの」