君を抱きしめるから~光、たずさえて~







「ででも、血のつながりがなくて、だから『力』のことはっ」



「血のつながりがない者同士が仲良くなって、仲良しになってから結婚するもんだろう?」



「そ……それはそうなんだけど、でも」



「掟なんて、あって無きがごとしさ。大丈夫、のりっちゃん、わかってくれるよ」



 あの夢の持ち主なんだから、とキメキメに言って、えいちゃんは帰って行った。



「でも、ボクはのりおと結婚する気はないからー!」



 とその背中に叫んだのだが、さて聞こえてくれたかな?


 お得意のシンパシーで、読み取ってくれてたらいいのに……


 秋にいた駐車場のコオロギは屍になって転がってる。


 なんだか今日のボクに似ている。



「まだひえるで、中入り」