君を抱きしめるから~光、たずさえて~





 月の逆光。


 なにものかわからないまま這い寄ってくるなにかに、ボクはあらがうべきか、のりおをどうにかして守るべきか迷った。


 たぶん、両方が正解だ!


 しかし、相手の正体を知らないまま、あがいてもたぶん無駄だ。


 ボクはおそろしくなりながらも、部屋の明かりをつけた。


 いや、つけようとした。震える手でスイッチをパチパチ、明かりつけの紐を何度引いても、電灯が付かない!



「おちついて、かっちゃん」



 ああ、きっと最期のときになっちゃんの幻聴を聞くなんて、つくづくボクは、ボクって奴は色ボケだー!