『ぼくのかぞく』 紙を取り除くと机の面には鋭いナイフで(おそらく小刀)大きく傷が交差していた。 これが小学三年の苦悩の後だと、だれも、気が付かないのだろうか。 「これが、おまえの本心なんだな」 のりおはなにも言わなかった、顔すら上げない。 これが、笑っていた奴の、本当の心なんだ。 「でも、赦すんだろ? おまえは強い奴だもんな」 「つよい?」 「ああ、自分の中の影に負けない、強さを持っている。いずれそうなる。ボクは知ってる。だって、おまえは、ボクの……恋敵(こいがたき)だ」