『でも…』


「でも?」


私の言葉をリピートしてきた


『詳細不明なんです。だから私は可能性のある東京に来たんです』


「そんなに必要なのか?」

『はい。あれをもし《ジャック》の手に入ればこの世界は変わり果ててしまう』


「あのさぁ…《ジャック》って?」


『《ジャック》は政府の影で動く黒組織のことです。今の段階で《ジャック》に捕まっている超能力者は50人を越えます…』


「50!?マジかよ…」


琉柴さんは黙ってしまった

当たり前だよね…自分も狙われてる一人なんだから…


『心配しないで下さい。あなたは必ず私が守ります。これはあなたが着けていて下さい』


そう言って私はネックレスを琉柴さんに渡した


「これは?」


『母からもらったお守りです。真ん中にプリズムの欠片が埋め込んであるんです』


「は?んな大事なもん人にやっていいのか?」


『はい。私は力を使えますけど琉柴さんは使えませんから…私が居ないときでも大丈夫なように持っていて下さい』


「…分かった。ありがとな」


ニコッと笑う琉柴さん

ドキッ…

その笑顔は反則だよ…

「あのさぁ…緋色は…♪〜…


突然琉柴さんのケータイが鳴った


「わりぃ…」


パタンッ…


急に静まりかえった部屋
『男の子の部屋に入るの久しぶりだなぁ…』

部屋のなかを見回しながらふとそう思っていた

『…亜瑠斗…』


そう呟いた瞬間

ガチャッ…

「たくっ…ってどうした!?」


『え…?』


「泣いてる」

そう言われてはじめて気づいた


『っ…』


自分の頬を生暖かい雫がつたっていることを…


『何でもないです…あっ私もう行きますね!』


時計を見ると10時を回っていた