…――


いくらたっても痛みが襲ってくることはなかった
フワッ…
痛みの代わりに来た甘くて優しい香り


なぜだか安心した…

自然と開いた目…

一番最初に目に入ったものは…


とても綺麗な長いサラサラの髪だった


「女…?」


突如現れた女に今一状況が掴めず戸惑っていると

『大丈夫ですか?』


正面を向いたまま問いかけてきた


「え…あぁ…ってつらら!?」


ついさっきまで自分に向かっていたつららを思いだしつららが飛んできた方を見ると


「…何で?」


つららは女の目の前で止まっていた


「貴様っ何者だ!!!」


向こう側で男が叫んだ


『汚い手を使って捕まえようする人達に教えるつもりはありません!!!』


顔は見えなかったけど声でわかった

かなり怒ってることが…
「生意気なっ!だったらお前も一緒に連れていく!!!」


そう言って男はまた噴水の水しぶきに手をかざそうとした


『おんなじ手はくらいません!!!』


女は両手を広げ手を叩いた

ばんっ…

強い追い風か吹き上げ女の目の前で止まっていたつららが男たちに向かっていった

さっきの何倍ものスピードで


『急いで逃げましょう!』
つららでてこずっている男たちに気づかれないように女は俺の手をつかみ走り出した