汝、風を斬れ

「こりゃ、すまねぇ。気を悪くしないでくれよ、妹さん。……と兄さん、一泊と今日の晩飯、明日の朝飯で……こいつだ」
「ずいぶん安いじゃないですか」
「おっと、だからってベッドが蚤だらけってことはねえぜ? 今の詫びだよ」
 人懐っこい笑い顔である。部屋の鍵を受け取った。 

「ふぅん、」
 番台の奥から女が出てくる。長い藁色の髪、露出の多い服。
「いい男が入ったじゃないか、ハス」
「おい、狙っているなら別の部屋にしろよ、ローナ。俺はあの女と」
 ハス、と呼ばれた宿主は、ごくと唾を飲みこんだ。