読み終えて役人がヴェルズに尋ねる。最期に何か言うことはあるか?
 ヴェルズは胸を張って前を見る。堂々とした体躯、姿勢。一度ぐるりを見渡す。口を開く。
「私は願う! 王と、この国の未来に幸あらんことを! 全ての民に愛の絶えぬことを! 私は願う!」
 威厳とは何であるかを群衆は知った。この輝く髪をした罪人の姿のこと。
 広間は静まりかえった。罪人の目に、白い帯が巻かれた。木製の台に頭を乗せる。

「ヴェルズ・ロダウン・ソーザ・セリスの斬首を執り行う」



 血飛沫が勢い良く上がった。体から解放された頭。髪は血に染まらない。