城の南門が重々しい音と共にゆっくり開いた。罪人を乗せた輿が厳かに進む。その後ろを黒頭巾の男が斧を持って付いて行く。斧の刃に光が反射した。城からヴァーンまでは真っすぐな太い道があり、そう時間はかからない。隊列は南へ歩を進めていく。

 やがて、一行はヴァーンに到着した。
 冊の中心に輿が据えられた。被せられた覆いが取られ、ヴェルズが姿を現す。処刑台の前に座り、役人が書状を読み上げた。
「この国を甚だしい混乱に陥れ、その指揮の下で国王妃殿下の命を刃に掛けたこと、そして――」
 口上は続く。ヴェルズは取り囲む群衆の先に、白い軍服を着た息子の姿を見た。向こうも真っ直ぐにこちらを見ている。

 どこまで父親を追い掛けるつもりだ、この馬鹿息子。
 セントが少し、口の端を上げた。ヴェルズも眉を下げ、同じように少し笑う。

 だが、決めたなら何も言わない。お前の思う通りにしなさい。

 ああ。