反乱兵はヴェルズの宣言により、武装を解き、城から撤退した。洗脳剤が体に残ったままの兵士もいたが、ロビンらの研究によりその解毒剤がつくられ、操作者とその兵士達がそれを飲むことによって洗脳剤は効力を失った。
 反乱によって停止されていた王府機関は、再び動き出し、社会水準もさらに向上した。街は活気づき、国内の生産も増え、セリスはより豊かな国になりつつある。王妃の葬儀がしめやかに行われ、続いてヴェルズの裁判が始まった。
 あれから一年の月日が経った。
 
「王家と国民の距離がより近くなったと思わないか」
「ああ、反乱を起こした軍隊の処罰も、殆どはしばらくの減給だけだったんだろ?」
「いままでずっとお姿を見られなかった、キュア王女も、最近じゃ国事とかで見かけるようになったし」
「綺麗な方だよな……ありゃ、亡くなった王妃様譲りだぜ」
「知ってるか? 今、隣のシュトゥーヘンの王子が来ているらしい」
「じゃあ、キュア様は」
「シュトゥーヘンに嫁がれるんじゃねえのか?」
「ああ、それ知ってるぞ。シュトゥーヘンって、出来の良い兄王子が十何年も行方不明で、蛮行甚だしい弟王子が何だかんだ」
「本当か? 姫様も大変だな……」