汝、風を斬れ

 
 凄まじい剣戟だ。ぶつかる度に火花に似たような物が散る。そして動くのは床の上に留まらない、動きは目に止まらない。

「何なの? セントはどうなっているの?」
「すごい……」
 キュアの目に止まらなくても、ジンの目には二人の動きが追えている。鋭く、速く、重い衝撃。しかしなお、荒く粗野な動きではない、どこか滑らかで常に品格が見え隠れする。それを体で受けたことがある……ジンは武者震いがした。

「そうか」
 朝露が葉からぽたりと落ちるように、ジンの口から言葉が零れた。

「ジン?」
「洗脳剤を作ったのがロビン・スージェなら、洗脳剤の中に入っている操作者の血は……ヴェルズ・ソーザ将軍のもの……人望ある将軍だったからその言葉だけでこの反乱に賛同する者は多い……賛同しない者には洗脳剤を使って同調させる……私達がここに飛ばされた時、魔法の気配を感じた……あれもスージェのもの……」
「じゃあ、ロビンにも洗脳剤が?」
「ああ、姫。すみません、ぼうっとして」
「いいから続けて」

 剣戟も続いている。