―――――………
――――――――………

ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……



耳に響く嫌なカンジのデジタル音




――うるさ……

誰か止めてや、このアラーム……




耳元で響く不快な電子音に
眉を歪めながら目を開けると……



「玲央!!」




俺は真っ白な病室に閉じ込められていた。






「……??
あれ??オヤジ??」





俺が意識を取り戻したのは、事故から2時間後の深夜12時。




頭を砂浜に強く打ち付けた俺は、どうやら脳震盪を起こして気を失っていたらしい。




全身打撲に
アバラと鎖骨を折る重症で
目が覚めた時には…起き上がることすら困難だった。





そんなこんなで
事故後直後の朝に制服を着て受験に行くなんて、超人的なコトを普通の中学生の俺が出来るはずもなく。



病院の先生は



「一週間は絶対安静です。
頭を強く打ってますからね。
万が一の場合、命を落とす危険性だってあるんですから、しっかり明日の朝イチで検査しましょう。」



なんていうモンやから、
俺はこの事故のセイで
海星高校受験を棒に振らざるを得なくなった。





「マジか…
せっかく勉強したのに。」




ハァと深々とため息を吐くと





「まぁ……残念やけど、縁がなかったっちゅーこっちゃな。」






オヤジはそう言って柔らかに笑って
俺を静かに慰めた。






「きっとお前は海星に行かんほうがよかったんや。」


「……え?」



「海星に行ったらお前の可能性がつぶれるところやったんや。オマエのやるべき勉強はきっと他の高校にあるんやろうなぁ。
それを神様が教えてくれたんや。
今回のことはそう思おう。」






男手一つで俺を育て上げてくれたオヤジ。
海星を受けることはあんまり乗り気じゃなかったけど…、心のどこかで応援してくれてたハズやのに。




受験日の前日にフラフラ夜遊びして、事故を起こして、受験さえ出来なかった俺を責めるでもなく、怒るでもなく




「人生で出くわす出来事は偶然やなく必然やからなぁ……。
海星にはよっぽど縁がなかったんやわ。」




そう言ってカラカラと笑う親父を俺は初めてデカイと思った。