俺をこんな風にボロボロにさせるアンナが憎い


自分の懐の小ささに気づかせる、この恋が憎い






キライや!
アンナなんて大っキライや!!
なんで俺がこんなむなしい気持ちを抱えなアカンねん!


お前が気まぐれに俺を誘ったりするから、無駄に喜ばせたりするから、俺がこんな嫉妬に胸を焼け焦げさせられる。




ムカツク……


ムカツク、ムカツク!





でも……好き






こんなメに合わされても
何されても





キライやと思っても





それでもアンナが好きな自分に呆れる


そんな自分に吐き気がする





いっそ……嫌いになれたら楽なのに

憎んで憎んで
嫌いになれたら俺はこの苦しさから逃げられるのに。





目をつぶって、うつむいて
心の叫びをごまかすように、しゃかりきに自転車を漕ぐ、俺。





せやから……かな?
そんな風に自分に嘘ついて逃げようとしたからバチが当たったんかな。






海岸通りの高台は少し山道になっていてカーブが多い。






いつもの感覚で
いつも以上のスピードを出して
山道を下っていると







キキィィィ~!!!









目の前に真っ白に光る
車のライトが現れて
耳の奥にはつんざくような、ブレーキ音が鳴り響く







―――ヤバッ……!!







そう思った時には
時、既に遅く




俺は目の前に現れた、白い車に思いっきりはねられて……


体が弧を描くようにガードレールの奥に吹き飛ばされた。






ガードレールの奥は……
小さな崖の下に砂浜が広がっている






俺は空を飛ぶように吹き飛ばされると






ドスン!!!!







背中から思いっきり砂浜に打ち付けられた。







「いったぁ……
なんや、今日は……。
厄日かいな……」









目の前に広がる紺碧の星空
糸のように細い下弦の月



海岸のはるか遠くに見える
エスプレッシーボのほのかな灯り





それらを見ながら…………





俺は意識を手放した。