「この行動に意味があるのか……なんて、やってみなきゃわからない。何故かわかるかい?」
俺がフルフルと首をふると
「後悔も満足感も行動を起こさなければ感じられないからさ。」
そう言って俺の頭をポンポンと叩くと、マスターは俺の隣にゆっくりと座る。
「行動したものだけが、その行動の意味を理解する。玲央くん、君が答えを知りたいならば行動しなきゃわからない。」
“行動しなきゃわからない”
俺はあたまの中でその言葉を何度も反芻する。
そんな俺を見てマスターは何かを感じ取ったんやろう。
よいしょ、と言って立ち上がると
「玲央くん、いいことを教えてあげよう。」
「え……??」
「失敗を恐れていては人は前に進めない。行動しなきゃ後悔も失敗も栄光も味わえない。
失敗を恐れる人の前に、奇跡は決して起こらないんだよ?」
そう語りながらマスターはのそのそと歩き、深い鈍色をしたドアノブに手をかける。
「玲央くん、君はまだ若い。
恋に怯えて失敗を恐れるつまらない大人になるのも、まだ早い。
叶わない恋を嘆く暇があるなら、恋を叶える努力をした方がずっといいと思わないかい??」