ボクがキミをスキな理由【短編集】



アンナの歌を聴きながら
思い出したのは、あの小さなアパートやった。




――あほやなぁ。




どんだけ俺はアンナに溺れてるんやろう。





アンナは俺の大切な人
カノジョでも恋人でもないけれど
大切な大切なオンナの人



カノジョの居場所はこの小さな街の
小さなジャズバーで
あの古い小さなアパート



そこ意外にカノジョが帰る場所なんてないのに…な。






正体のない自分の恐怖心
ソレがとても滑稽でおかしくて、フフッと笑うと
エスプレッシーヴォの扉がギィィとゆっくりと開く。





高級なスーツに高級そうな時計
品のある立ち振る舞いに
知性の溢れる涼しい顔




そこには40代前半くらいの、
スマートな男性が立っていて
ステージの上のアンナを食い入るように見つめてた。



アンナの言う危険でイケナイ、イイオトコ



そのお手本のような雰囲気をかもし出す、その男性はアンナの歌声を聴くと小さくポツリとこう呟いたんだ。





「……やっと…君をみつけたよ、アンナ。」