アンナが驚くのも無理はない。
明後日は海星学園の受験日
『いい!?最後の最後まで気は抜いちゃいけませんよ!?』
と、担任は言った。
『最後の最後まで油断してはいけない!!』
と、塾の講師は言っていた。
だけど……
「もう、やれるだけやったし後は天の神ぞ知る…って感じやねん。」
「そうなの?」
「うん。これ以上詰め込んだら詰め込んだ分だけ忘れそう。」
その頃の俺は海星合格間違いなし
海星に入学したら特別進学コースに入れる、と言われる位の点数を取れるようになっていて。
正直これ以上勉強したくなかったし
あと1日必死に勉強しても、
今までやれるだけやったんだから
これ以上は無駄なような気もしたし
少し気晴らしも兼ねて
久しぶりにアンナの歌声に癒されたくなったんや。
「それに…アンナの歌う曲はぜーんぶ英語やから、ヒアリングの練習になりそうやしな。」
ほんのりと潮の香りのする、ボードウォークでアンナに向かってニッコリ微笑むと
「…悪いボーヤね。」
そう言って、アンナは俺の唇にチュッと触れるだけのキスをする。
「それだけでええんか??」
「え…??」
「俺は欲張りやからそんなんじゃ、全然足りへんで?」
ニンマリと笑って
アンナの唇を食べるように
味わうように深く深くキスをして
「明日、俺、エスプレッシーヴォに行くわ。
全部でなくてもええ。
少しだけでいいから、ちょっとだけでいいから、俺のコト想いながら歌ってくれるか??アンナ。」
キスの余韻の中でそう呟くと
「…いいよ?レオ。
明日は君のためだけに歌ってあげる。」
アンナはそう言って俺の頬を優しく撫でた。



