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その日の夜は三日月の光る夜だった。
いつものようにボードウォークでアンナと夜のデートをしていると
「明日、久しぶりにライブなんだ。」
と、アンナが微笑む。
「エスプレッシーヴォで??」
「うん。ピアノとヴォーカルだけのささやかなライブだけどね。」
その頃の季節は完全に冬になっていて
ダウンコートを着ていても、
突き刺さるような寒さが体中を刺激する。
いつものベンチに座っていると、お互い凍りつきそうだったから、俺たちは川沿いをテクテク散歩しながらデートを重ねていた。
風は冷たいけれど繋がれた手は温かい。
その手のぬくもりを感じながら
「じゃあ…行こうかな…。」
と呟くと、アンナは驚いたような顔をして、俺の顔をギョッと見つめる。
「正気??」
「うん。もう勉強するだけ勉強したし、行こうかな。」
「だって…
あさっては受験でしょ??」



