それは以前
私がカレに片思いをしていた頃
夕暮れの帰り道で言われた
思い出の一言。
池から池へ
旅するカルガモ一家に例えられて
笑われた、思い出の一言。
あの時は
『ココなら友達になれるよ』
とカレは自分の隣を指差したけれど…
今度私の左手をギュウッと掴むと
恥ずかしそうにこう言った。
「ココなら…
恋人同士になれるよ??」
初めてつないだカレの手
固くてごつごつしていて
オンナノコとは全く違う骨格をした手
でも温かくて
大きくて
私にホッコリとした“安心”を与えてくれる、成宮君のてのひら。
ドキドキしながら
でもあったかい気持ちになりながら
柔らかに微笑みながら
二人でゆっくり歩いていると
「あ、すみません!!
ちょっといいですか??」
なんだかオシャレな格好をしていた男の人に、突然声をかけられた。



