ボクがキミをスキな理由【短編集】




すると


「ひゃっ!ちょ、ちょっと!!
星野さんっ!!」



成宮君は悲鳴を上げて、そのくすぐったさに思わず腕の力を弱める。





その瞬間




「う、うわっ!!」




人ごみにもまれて、私と成宮君のキョリがなくなる。





カレとのキョリは0センチ。
ピッタリと密着するカレの胸板
腰に絡みつく、逞しい腕





「ね?こっちの方が成宮君も楽でしょ??」




力いっぱい人を押しのけるより
こうした方が絶対に成宮君も疲れないハズだ。





そう…思って




ニッコリとカレに微笑むと
カレは困ったように





「楽だけど…
楽じゃない。」






そう呟く。





カレの言っている言葉の意味がよくわからなくて



「え??」



とカレを見上げて聞き返すと、
成宮君は一瞬グッと息を呑む。