ボクがキミをスキな理由【短編集】



驚いて上を見上げると


「ご、ごめん。
こうした方が楽かと想って…」



トマトな顔した成宮君と目が合った。




気がつくと
成宮君は私を後ろからすっぽりと覆ってくれて、
周りの人たちに私がつぶされないように、自分が盾になって守ってくれていたんだ。






やっぱり…優しい。






これ見よがしじゃなく
下心みえみえでもなく
ふんわりとした気遣いで
成宮君はいつも私を守ってくれる。





しかも…




「うー…
微妙な隙間を作るのって疲れる……」




密着しすぎないように気を使って、私と自分の間に微妙な隙間を力づくで作ってくれている。





カレのその気遣いと誠実さがとても嬉しかった。






「大丈夫…だよ?」


「え…??」


「もっとくっついても大丈夫。」





そう言った瞬間
成宮君はまた、困った顔をする。






「いや…でも…」





この期に及んで
まだモジモジしている彼。

そんなカレが可愛くて





「大丈夫だよ、成宮君。
カレシがカノジョに気を使うなんておかしいよ。」





そう言ってクスっと笑うと私はカレのわき腹を軽くコチョコチョとくすぐる。