「…わかっ…てる。
市橋くんがそんな人じゃないってわかってる。だけど…あの時、勇気を出せなかった自分がイヤで…、ずっと後悔してた。」


涙でグシャグシャになった顔で、安達は俺の目を必死に見ながらこう言った。


「でも…、やっぱり好きなの。
市橋くんのことが今でも好きなの。忘れられないの。今さらだけど…私と付き合ってくれませんか…っ?」


―バカだ。安達は大バカだ。



気がつくと、俺は安達に向かって駆け出して、アイツの小さな体をギュッと強く抱きしめた。