家に帰ろうと踵(きびす)を返すと
「ま、待って!!」
レイさんはへたりこんだまま、俺のカバンをギュッと掴む。
「何?
高校生の俺には用はないんじゃねーの?」
実際、そういう顔してたじゃん。
ガッカリした顔してたクセに。
冷たい目をして言い放つと
「違うっ!!ちょっと驚いちゃっただけなのっ!!
亮介くんのコトが好きって気持ちには何の変わりもないから!!」
レイさんは焦ったように俺に言い訳をする。
なんだかその姿がかわいくて、思わずプッと笑うと
「あ…。」
レイさんは突然真っ赤になって俺を見つめる。
「やっと笑ってくれた…」
そう言って恥ずかしそうに笑う彼女に…、俺のお手軽なハートは盗まれてしまった。
大人な彼女が見せた子どもの表情に、恋愛経験ゼロの俺は完全に堕ちてしまっていたんだ。



