ボクがキミをスキな理由【短編集】




促されるままに支度をして外に出ると、辺りはうっすらと明るくなっていて。


薄闇色の空と薄い太陽の光が街を照らしていた。




大きな通りに出て、路上で止まっていたタクシーを見つけると



「あ、よかった!!ちょうどいい!!」




亮ちゃんはそのタクシーまで走って行って、運転手さんと何やら話している。



私がタクシーの近くまでヨロヨロと歩いていくと、後部座席の扉がパタンと開いた。






「はい、乗って乗って!!」




促されるままにタクシーに乗り込むと


「お姉さん、家はどこ?」



亮ちゃんがタクシーの外から訊ねてくる。




「あ…星ヶ丘なんだけど…」






と答えると彼は運転手さんにニッと笑って


「…だって。」


と声をかける。







「へぇ…、星ヶ丘ならコレで十分だ。」








そう言って。
運転手のオジサンは5千円札をピラピラと揺らした。