ボクがキミをスキな理由【短編集】





私がソファーに寝かされて…、酔っぱらったまま爆睡して目が覚めると



「あ、起きた?」



亮ちゃんは眠い目をこすりながら私にニッコリと笑いかけてくれた。





「お姉さんが目が覚めたらタクシー呼んで家まで送れって言われてるんだけど…、立てる?」


「あ…、多分大丈夫。」


「よかった。
じゃあゆっくり支度してよ。俺、外で待ってるからさ。」





裏表も下心も何もない表情で心配されるのは久しぶりでこそばゆい。






あの頃のあたしはよくも悪くもいろんなことに慣れてしまってた気がする。






お酒の飲み方も

夜遊びの仕方も

一夜限りの恋愛の仕方も。






いろんなことに慣れすぎて、男の子が自分のコトをどんな目で見てるのかにも慣れすぎていたから。







亮ちゃんみたいに何も求めず、ただ心配してくれる目が新鮮で。

そんな彼の何気ない行動や仕草が私の心臓をトクントクンと激しく揺らした。