やたらと広い生徒会室をひたすらモップ掛けする。その床は大理石で出来ている。
ここを含めて、生徒会棟には私も知らない教室や施設がたくさんあるらしい。
それを誰が掃除しているかと言うと、大勢のハウスキーパーが学校終了後に掃除しに来ているという。


「ほらほら、腰に力入れろ」


「はい・・・・」


何往復もする。その間、会長は暢気に紅茶を飲みながらこっちを見ている。
どうやら私のメイド姿が面白おかしいらしい。


(くそー、私こんなキャラじゃないのに・・・・)


っていうか、何で会長がこんなメイド服持ってるわけ?


(まさか・・・趣味??)


「何だよ、怪訝そうに見つめて。さっきから手抜きしているな」


床の端っこに指を擦りつける。ほこりがべったりとくっつき、フッと吹き飛ばした。


「もう一度やり直し。俺、結構潔癖症なんで隅々まで掃除してね」


モップを真っ二つにしたくなった。生徒会庶務という役職のはずなのに、これは明らかに会長の雑用係だ。


「それが終わったら、コーヒー淹れてくれ」


苛立ちながらコップに注ぎ込む。その時、肩をポンッと叩かれた。


「何でコーヒーじゃなくて、醤油なんて入れていやがる?」


「す、すみません!!ボーっとしてて」


というのはもちろん嘘。ワザとである。


「大量に塩分を摂取させて俺を殺す気か?お前が考えていることはお見通しだ。とにかく、もかは俺が満足するまでご奉仕してくれよな」


惨めだ、奴隷とはいえ惨めすぎる。その嗜虐的な性格を何とかしてください、ご主人様・・・・。


こんな姿を他のメンバーなんかに見られたら・・・・。


「失礼するよん♪大和、今日は月に一度の・・・・」


ちょっとテンション高めに副会長が入ってきて、ばっちり目が合ってしまった。