「さっそくだが、これを着ろ」


ノックして入った途端、黒と白のチェック柄の袋を渡された。
中身は洋服が入っているようだが。


その洋服を少し出した時、すぐに会長に返した。


「む、無理です!!着れませんっ」


「無理だって?お前、拒否権持ってんのか。それを着れないっていうのであれば裸でエプロンでも・・・・」


「き、着ます!着ます!!着させていただきます」


企みでいっぱいの満面の笑みに負けてしまった。着替えるまで見ないと言ってくれたのが唯一の助けか。


しかし、この洋服は私的にNGだ。
「うー・・・」と唸っていると外から「さっさと着替えないと入るぞ」と言われてしまった。
抵抗はありつつ、言われたとおりにする。鼻をぐずぐずと鳴らす。


(え~ん、誰か助けて・・・・・)


「き、着替えました・・・・」


ドアを半開きにして、蚊が鳴いたような声で言った。
会長は立ち上がり、こっちに来た。


「よし、出てきてみろ」


身体を縮ませながら、外に出る。恥ずかしすぎて、顔を上げることができない。


頭にフリル付きのカチューシャ、フリルだらけの白のエプロン、ヒラヒラでビラビラのスカートが付いた黒のワンピース・・・・・。


私は、メイドさんにされてしまった。


「なかなかいいじゃんか」


「よくありませんっ」


まさか人生初のコスプレがこれだなんて。本気で泣けてきた。


「それじゃ、この部屋全部掃除してもらおうか」


「ぜ、全部ですか!?」


「当たり前だ、頼むぜ俺のメイド♪」


「はい、会・・・・」


会長、と言おうとしたら顔をムッとさせてしまった。すぐに訂正させる。


「はい・・・・ご主人様・・・・・」