部活動をしている生徒も教師もみんな帰ってしまった時間、生徒会室にはまだ明りが点いていた。


コンコン、ノックするが返事はない。いつものことだと割り切り、扉を開ける。


「やっぱり、まだ残ってたんだ」


航一朗が顔を出すと、大和は大量の資料に目を通しているところだった。
ギシッと椅子を回転させると、不機嫌そうに返答する。


「何の用だ」


「本当は分かってるんじゃないの?」


そう言って航一朗は持ってきたノートパソコンを大和の目の前に置き、画面を見せた。


『生徒会kingdom』 生徒会のホームページだ。大和は視線を明後日の方向へ移す。


「それが、どうした」


「大和が宣言してから炎上し続けている」


見せられたのは一般生徒が参加できる生徒会の掲示板。



1459 スニーカーLOVE さん

あんな女が生徒会メンバーなんてあり得ないし


1687 ぺんぎん★ さん

だって超地味子じゃん!!


1746 MMMC さん

ボサボサ頭 生徒会に相応しくないと思う人手ぇあげてー?



他にも罵詈雑言、もとかを侮辱するような内容が書かれていた。


「彼女は気付いていないみたいだけど、危害に及んだらどうする」


大和は椅子を回転させ、航一朗に背を向けた。
そして、スローモーションのように立ち上がる。


「その時になったら、お前は一切手を出すなよ」


「つまり、いざとなったら参上するってことね」


航一朗はフッと笑い、やれやれと肩をすくめた。


「手を出したりしたら、僕の命が持たないよ」