その後、生徒会の鉄拳制裁(?)により、吾妻梓の退学が決定。
肝心のコンサートはというと、アル君不在の影響で散々なものになってしまったらしい。


「梓は音大付属の高校に転校することになったんですって」


それを聞いたのは随分後のこと。


「僕、もっと音楽の事を知ろうと思います。みんなの言葉に惑わされることなく、自分の奏でるメロディで人々を感動させたらなって・・・・」


「うん・・・・。アル君なら、きっと出来るよ」



こうして、生徒会や天帝学園に平穏が訪れたと思われた。




国際空港。
そこに一機の自家用ジェット機が着陸する。


「おかえりなさいませ、お嬢様」


タキシードに身を包み、モノクルを掛けた老人が深く一礼する。
相手はブランド服を着た派手めの女性。


「ふう、お迎えご苦労。疲れた、疲れた」


他に来ていた付き添う人が女性の荷物を預かる。


「何か、変わったことはなかったかしら?」


「はぁ、実は天帝学園でゲリラライヴを行ったと・・・・」


「ゲリラライヴ?」


思わず声をひっくり返る。
見せられたのはアルのコンサートという名のゲリラライヴ。


アンコールの映像がインターネット上で流れている。ヒットやコメントもすごい数となっている。


「待って、ストップ!」


付添い人が一時停止する。
女性はある人物をズームアップする。


そして、ニヤリと笑う。


「・・・・見つけたわ、草薙大和」