猛スピードで車道を駆け抜ける。ジェットコースターよりかは恐くない。
でもまさか、椚先輩から私を送るなんて言ってくるとは・・・・。


今夜、槍でも降ってくるんじゃないのか?


一般道に入り、前方の信号が赤に変わり、ゆっくりと停まる。


「・・・ちょっといいか」


「え?」


椚先輩が横顔を見せながら言ってきた。


「・・・寄りたい場所がある。付き合ってもらってもいいか」


「寄りたい所・・・・・?」


私の家に送る前に寄り道をしたいという。一体何処へ?


たどり着くまでそう時間はかからなかった。
そこは、大きな病院だった。しかも、その名は・・・・・・。


『椚総合病院』


「ここってもしかして・・・・・」


「・・・俺の病院」


マジででかい病院。たしか、父親が院長で母親が婦長で、あのムカつく兄貴が医大生で医者の卵・・・・・。


「どうしてここに・・・・」


調子が悪いから自分の病院に?はたまた、私を心配してここに連れてきたとか?別に軽症で済んだ訳だし、わざわざここに連れてくるなんて・・・・・。


「・・・お前、言ったろ」


「え?」


「・・・医術を持ってるのに、もったいないって」


一瞬、「?」になった。でも、すぐに思い出した。自分が言ったことを。


正面口へ行くと、あのムカつく兄貴が出迎えていた。どうやら、来るのを知っていたらしい。


「おやおや、親不孝息子が女連れてきたぞ」


嫌みたらしく言う。どっかのサディスト会長より腹が立つ。