3人のメンバーを置いて、会長と二人きりになる。その間、会話はない。表情をうかがうと、ムスッとした感じだった。
エレベーターで屋上には行けず、階段を使う。私は一段一段どきまぐしながら登る。


勇気を振り絞って、「屋上に何が?」と訊こうとした時、重い2つの扉が開いた。
強い風が髪をなびく。白い月が見える。


その屋上には、コンクリートの地面に黄色い巨大な円の中にHと書かれていた。


「これは・・・・・」


バラバラバラバラバラ


轟音がしたと思ったら、頭上にヘリコプターが飛んでいた。そして、円の中のHに着陸する。


「何でヘリコプターが・・・・」


「1億円以上投じたヘリポートだ」


っていうか学校にヘリポートなんてあるものなのか?プロペラが放つ風で今にも飛ばされそうだ。


「さっさと乗れ」


「ええっ!?」


飛行機だって乗ったことないのに。ヘッドホンをはめられて、強制的に乗せられる。
浮上して足許が変な感覚になる。


「恐いのか?高所恐怖症か」


「別にそんなことは・・・・」


また意地悪言われた。まさか人生の中でヘリコプターに乗る日が来るなんて。ジェットコースターよりかは恐くないと思った。


「今回はお前の反省会だ」


「テストの問題ですか?それとも、昼間の事で・・・・」


「・・・・お前、さっきから窓の外見てないだろ。見てみ」


高所恐怖症ってわけじゃないけど、下を見るのはやっぱり恐い。会長命令で、ベルトを掴みながら外を見る。


そこには、星空のビロードに負けないくらいの夜景が広がっていた。
まさに、100万ドルの夜景と言っていい。


「うわ・・・綺麗」


「よく見ろ、あそこ」