妖魔は基本的に単体で行動する。

 仲間で群れることを嫌い、それぞれの縄張りがあるため、同じエリアにいることはないのである。

 その為、威瑠依にいる妖魔退治部隊には、十分すぎるほど、人がいた……はずであった。


「そうなんだけど、疲れがたまって、妖魔に怪我を負わされた人もいるみたいだし……手に負えなくなって商人経由でうちに依頼してきたの」


 榎瑠亜には、政事の場があり、いろいろな人種が集まってくる。

 いろいろな場所から集まってくるため、もちろん、威瑠依から来た人もいた。

 今回は、威瑠依にいる妖魔退治部隊が、榎瑠亜まで行く商人に、凛風に援助を頼むように依頼していたのである。


「そう。妖魔が多い原因もわかるといいんだけど……」


 そう言いながら、陽紗は、ある人物を思い出した。