「母様、ちょっといい?」


 仕事をしていた桜鈴は手を休め、陽紗の用件を聞いた。


「いいわよ。どうしたの?」

「今、母様一人?」

「そうよ。沙夜李は出かけているわ」


 沙夜李は凛風の用事で出かけたり、陽紗とともに妖魔退治に出かけたりしていた。

 その為、朝以外は、側近室にいること自体あまりないのである。


「また、凛風のおつかい? 大変だね」

「まあね……最近は特に忙しいからね。それより、何か用事でもあったんじゃないの?」


 話がずれそうになったが、桜鈴は陽紗に用件を聞いた。


「うん。あのね、羅国から使い魔が来て、凛風が二日後に羅国に行くことになったの」

「行く用件は何?」

「新皇帝即位の儀式があるみたい」


 それを聞いた桜鈴は驚く。