疵痕(きずあと)



「それで……?」


 聞く方も真剣だ。


 エンジェル・キシモトは困ったような顔で、なおもいいわけをする。


 心なしか青ざめている。


 信号もない、車線変更のきかなそうな道路に、全員、不思議そうに頭を傾げた。


 ハンドルを握る当人だけが悲しそうな目をして、


「ついつい……首都髙みたいなのに、入っちゃったようなの」


 未曾有の出来事だった。