疵痕(きずあと)



「勝手なこというなよ。うるさいのは嫌いなんだ。降りて大学の根城とやらに帰れよ」


「あっ」


 エンジェル・キシモトは申し訳なさそうにいいわけをした。


「いつもはこうじゃないの。こんな事初めて……本当よ。信じてお願い!」


 のっぴきならないようす。


 どうしたのかな。


 エンジェル・キシモト、唇まで青くなって。


 まるで色つきリップがとれたみたい。