疵痕(きずあと)



 ほっといてくれ。


 緊張してるんだ。


 中髙と一緒だったくせに、ろくに挨拶も交わしたことのない鏑木に、俺の何がわかるっていうんだ。


「なぜ睨むんだ? シッシ」


 鏑木のドンカン。


「べつに」


オレはバックミラー越しにもう一度睨んでやった。