「みーつう〜!」


「いててっ」



翌日のお昼休み。
中二の時から友達のユキナが私のほっぺをつねった。


「ユキ痛い!!なんなのよっ!」


「なんなのはコッチのセリフ〜!今朝から蜜ずぅっとボケーってしてるぅ!」


「べ、べつにボケーっとなんてしてないよ…」


「ん〜?蜜ちゃんもしちゃったかねぇ?」


「…!!キ、キスなんかしてないもんっ!!」


そういって、はっと固まった蜜。
ユキナも一瞬びっくりしたが、すぐに楽しげな顔付きになった。


「き〜すぅ〜?」


「い、いや、ほら魚の…」



蛇に睨まれた蛙とはこのことか。
蜜はゴクリと唾を飲み込んで、ユキナにだったら…と話すことに決めた。




「ふぅん。陸くんがねぇ〜。」



ユキナは事情を聞いて、とうとう陸も我慢きかなくなったか、と驚きよりも納得していた。

(蜜にはかわいそうだけどここはほっとこうかな…特に悩んでる蜜もかわいいし〜、陸くんには相変わらず関門が控えてるしね。まぁ当事者同士の問題だしさぁ。にしてもなんか楽しくなりそうだねぇ〜。)


ユキナは深く立ち入らないことを決めつつ、状況の進展を期待した。


「で、日曜日行くんでしょお?」



う、と蜜は口を曲がらせた。


「だって陸連れてかなきゃ、皆に殺されちゃう…。」


「決定だね。」


何故だか楽しそうなユキナに疑問を抱きつつも、蜜は日曜日のことに頭を走らせた。

いくら考えても、出て来るのはため息ばかり。


「はあ…。」


「ため息ついてどないしたん?」



突如頭上から降りかかった声に、ばっと後ろを振り返ると
クラスメイトの林崎 遥(りんざき よう)が立っていた。
彼は中学卒業後大阪から引っ越してきたのだが、今だ抜けない大阪弁や、容姿の良さにファンも少なくはない。


「び、びっくりしたぁ。林崎くん相変わらず大阪弁っ!」


そうクスクス笑うと、「大阪人に喧嘩売っとるんこ?」と冗談半分で怒られてしまった。